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sonihouse × night cruising対談 -『HERITAGE』を開催するにあたって-

2015年、12面体スピーカー”scenery”で知られる奈良のsonihouseと、活動の幅を全国区に広げる京都のイベント&レーベルnight cruisingがともに考え、実践する新しい音楽イベント『HERITAGE(ヘリテイジ)』が始動。第一回目を3月28日(土)、大阪の島之内教会で開催します。
2月某日、奈良のsonihouseにて鶴林万平(sonihouse主宰)と、島田達也(night cruising主宰)が、『HERITAGE』を開催するにあたった経緯やイベントの魅力、想いを存分に語りました。

ー sonihouseとnight cruisingの出会いについて


僕が奈良のsampleというカフェの2階にあったwhite room(奈良でほぼ唯一エレクトロニカや実験的な電子音楽などのイベントが行われていたスペース。現在は移転に伴い活動を休止している)という場所に、たまたまイベントを観に行ったとき、”scenery“のスピーカーが使われていて、万平さんがPAをしていて。
そこで衝撃を受けたのを憶えています。たしか2011年の夏だったかと。


はい。雨が降ってましたね。


そうでした(笑)
そのとき、「自分のイベントでこのスピーカーを使ったらどうなるんだろう」と単純に思って、気づいたら万平さんに話しかけていました。


そうでしたね。話しかけていただきました。


で、連絡先を交換して・・・と。そこからですよね。


それが出会いでしたね。


正直そのとき受けた音そのものというよりは、そのとき説明されていたスピーカーのコンセプトに興味を持って、今までにない可能性を感じて。
ちょうどその時期にnight cruisingが5周年で、展示みたいなのをやりたいなと漠然に考えていたんです。その想いとsonihouseの”scenery”が僕のなかで一致して、やろうと思い立って。実際に一週間の音の展示とワークショップ、イベント(京都・神宮丸太町club METROの2Fのカフェ「etw」で2011年9月に開催した展示「before fading」)を開催しました。


そうでしたね。


僕的には、そのときにすごくしっくりきて。もっと大きなことというか、何かできるんじゃないかと思って。そこから関係が深まっていったように思います。
12面体スピーカー”scenery”や、sonihouseさんが自宅でされていた「家宴」の魅力に惹かれていって、sonihouseのやっていることに対して共感して、すごく学びもあって。
今でもそうなんですが、きっとsonihouseとnight cruising、もとい、万平さんと僕のやりたいことや目指すところって微妙に違っていて。でも「こだわる」という部分ではきっと共通していて。って思っているんです。


最初、島田さんがされている「night cruising」にはクラブイベントというイメージがあって。僕たちは「家宴」という自分の家で小さなイベントで、きっとクラブとは対局にあるような場を作っていたので、島田さんから最初に依頼があったときは、少し意外だなという印象をもったんです。
でも、島田さんがこちらにすごく歩み寄ってくれた企画で、僕も安心してできたので、以後も一緒にやれる機会ができていったんだと思います。


その後、法然院で開催したnight cruisingのイベントに音響で入ってもらいましたよね。(*注)
僕たちはこれまで自分たちでスピーカー含めた音響機材を持ち込んでやっていて、もちろんそれもこだわって音作りをしていたんですけど、違ったコンセプトというか、そこで新しい世界が見えたような気がしたんです。


そうでしたね。僕もスピーカー製作はずっとやっていたんですが、それまでは、”scenery”を使ったイベントではPAはエンジニアにお任せすることが多く、僕自身がPAする機会はあまりなくて。けど一般的なスピーカーを使うことに慣れたエンジニアさんだと、このスピーカーの特徴の違いを活かしきれてないと思うことがあり、少し歯がゆいを思いを持っていました。
でもこのイベントでひょんな感じでPAまで任せて頂いたので、その後このスピーカーを使ったライブではPAまで自分でこなすことが多くなったんです。


その後も、ヴィラ鴨川(ドイツの芸術家を3ヶ月間招聘し、日本に滞在しながら創作活動を行う機会を提供している)で開催したNils FrahmやOlafur Arnaldsの公演に音響で入ってもらって、お客さんはもちろんアーティストの満足度や興味もすごく高かったので、合いそうなイベントがあれば、可能な限り予算を作ってお願いをしてきました。
それとは逆に僕がsonihouseさんが出張で行くイベント音響のサポートをさせてもらったり・・・。これまでそんな関係が続いてきましたよね。

ー HERITAGEの開催にあたって


HERITAGEという言葉自体は「遺跡」とか「残されたもの」「受け継ぐ」という意味があって、どちらかといえば「完成したもの」という過去形の言葉なんですが、今は新しいものをどんどん作って、更新してということよりも、今あるものを丁寧に見直して、活かして、そして受け継いでいくということを実践したいなと思うんです。
僕たちの世代が、今の子供の世代に対して、責任をもってものづくりや表現をしていかなければいけないと思ったんです。受け継いで欲しいものがあるということ自体が未来への希望を表している、だからあえて「HERITAGE」という言葉を使いました。


先に「イベントをやろう」ってなった後にタイトルを決めたわけなんですが、すごくふさわしいなぁと感じています。普段からnight cruisingとしてイベントをやっていて、そこにはまず「こういう海外アーティストが出て」とか「誰のリリースイベントで」とか、打ち出し方をすごく求める部分があるんです。もちろんいいと思ってやっていますし、それがnight cruisingのイベントの軸で、毎回こだわって工夫して企画しています。
でも、このアーティストを呼んだら大体何人お客さんが入って、あぁ、じゃあちょっと厳しいから共演をいれようか…とか。主催側もお客さんも、なんとなく想定の範囲内で、期待通りのものをみせていく感じで。もちろんその中で起きる奇跡とか面白い瞬間があるのがイベントの醍醐味なんですが。そうではない視点のイベントの形をやりたいと思っていて、でもそれはnight cruisingだけじゃできないような気がして。なので今回から始まるHERITAGEには、そんな期待を個人的にはもっています。「どんなイベントに なるんだろう?」とか、いい意味で期待を裏切るような。期待さえ未知数な。毎回そうじゃなくても良いんですが。「HERITAGEだから、出る人は知らないけれど、なんか面白そうだから観に行ってみよう」、そう思って足を運んでもらえたら・・・良くないですか?(笑)


そうですね。
night cruisingが今までやってきたものとは、きっとまた違う感じになるでしょうね。
これまでnight cruisingのイベントにsonihouseが依頼される形で音響をしていた中で、例えば法然院でやっていることなんかは、sonihouseとして、もともと理想としていたことが実現したという面もあって、ただ「音響サポートしています」というだけでは物足りない、積極的に音以外の部分でもなにか付け加えることができたらな、と思うところもあったんです。
でも僕は主催者ではないので、想いを秘めるだけで(笑)。なので、HERITAGEは今までsonihouseとnight cruisingがやってきたことに対しての再定義みたいな、新しいプラットフォームを作って、あらためて提示し直すみたいな機会になればと思っています。
今回照明で入っていただく渡辺敬之さんは、これまでもご一緒する機会があったんですが、個人的にsonihouseの活動と何か共通する面があると思っていて、僕たちが目指している「場づくり」に改めて関わってほしいなと。
そういった試みをみせていきたいなと。新しいチャレンジですね!


今回は一回目なので、やってみないと見えないこともあると思うんですが、二回目以降はきっと場所も変わるでしょうし、出演者のテイストも違ってくるかもしれません。


そうですね。今回は演奏と照明、そして教会という場所に焦点を当てていますが、今後は、例えば食であったりとか、もっと有機的な場になることを目指したいと思っています。


そういった要素はnight cruisingとしては新しいので、楽しみです。これまでイベント内でケータリングを取り入れることは多々あったんですが、それとはまた違った、もっと深く入り込むような。食は、これまで家宴などでsonihouseさんが育まれてきたテーマですよね。
お互いの持っているものが違う、ということの良さが出るんじゃないかと期待しています。


楽しみですね。
音楽も、今回はポストクラシカルとかエレクトロニカとか、そういった文脈なんですが、もっともっと広く、ジャンルを越えた組み合わせなんかも取り入れていきたいですね。

ー 今回の出演者について


今回ジャパンツアー大阪公演となるBruno Bavotaさんは、イタリアはナポリのアーティストです。
ナポリは海がすごくきれいとのことで、最新作『The Secret Of The Sea』は、海をテーマにした作品らしいです。
ピアニストと紹介されているのですが、この最新作を聞いていると、ギターの音もたくさん入っていて。

アルバムでは実のお兄さんがギターを弾いているそうなのですが、YouTubeなどに上がっているライブ動画をみたところ、Brunoさんがギターも生で弾ているので、おそらくジャパンツアーもそうするのではないかと。なので、ピアノソロにとどまらない、広がりのあるパフォーマンスになりそうですよ。


なるほど。sceneryとの相性も良さそうですね。


彼のインタビューも見つけたんです。
新潟の方が運営するexperimental roomsというサイト上で昨年公開されていたのですが、けっこう面白くて。ぜひ見てほしいです。
メールのやり取りも本人と行ったのですが、すごく積極的で、高いモチベーションを感じました。どんな人なんでしょう。


イタリア人ってなかなかイメージつかないですよね。
僕の中でイタリアの音楽は「明るい」イメージだったんですが、彼の音楽はどちらかと言えば陰りあるというか。
深く静けさを楽しむような、情緒的な印象を持ちました。


写真で見たんですが、男前ですよね。


そうですね。確かに。


インタビューでは「音楽で愛を見つけたいと思っている」とか言っちゃってますからね(笑)


そこはイタリアっぽいんですかね(笑)


なかなか日本人は言いませんからね。なんか臭くなっちゃいますし。そのあたり「文化の違い」も楽しんでもらいましょう。
さて一方、こちらも愛があるアーティストですが(笑)、Polar Mさんです。


愛を求めていますよね。


こちらは我々night cruisingのレーベルから最新作『Hope Goes On』をリリース。
年始からツアーをやっていて、全国を回っています。
タイミング的に大阪でぜひライブをというのもありましたし、今回のコンセプトや会場とも合っているかなと。


そうですね。Polar Mさんはsonihouseとの繋がりも深いので、記念すべき第一回目にふさわしいアーティストだと思います。
この機会にたくさんの人に見てほしいですね。


最新作『Hope Goes On』、ちょうどさっき一緒にsceneryのスピーカーで聞きましたよね。
これまでも何度か聴いてもらってるとは思いますが、改めていかがでしたか?


いや~、めちゃめちゃいいですね。


そういえば前にメールで「なぜこの人からこんなに素晴らしい音がでるのか」ってコメントくれましたよね。(笑)


あっ、それは・・・(苦笑)
いやいや、人も素敵ですよ。Polar Mさん。


教会での演奏は初めてだと思います。
今までのライブでは映像を使っていましたが、この日は恐らく無しで、教会のロケーションを生かそうかと。


渡辺さんの照明もありますからね。


ですね。同じ曲でも、これまでとはまた違った印象になるのではないかと。


会場と音響、そして自身の音楽が重なって、アーティストにとっても新しい体験が生まれるんじゃないかと期待しています。



今回出演するBruno BavotaとPolar M、一見違った音楽のように思うんですが、僕はすごく共通するものを感じるんですよね。


僕もそう思います。国は違えど、叙情性や哀愁を感じます。


当日どんな雰囲気になるのか、僕たちも分からないところがあって、ワクワクしますよね。
音響はもちろん、sonihouse鶴林万平が死力を尽くすということで。


はい。この何年かの集大成だと思って、全力でやります。


いいですね。僕は会場で雰囲気作りに徹します。受付とか(笑)


仕切り、よろしくお願いします(笑)


さてさて冗談はさておき。本当に「家で聴くだけが音楽じゃない」ということをイベントを通じて伝えたいですよね。


この場所、この時間だけでしか体験できないということを。


再定義したいですね。


もちろん、僕たち自身も楽しみましょう。


みなさまのお越しをお待ちしております!

-*)注釈-
京都の古刹「法然院」で開催。night cruisingが主催、sonihouseが音響を務めた。
2012年6月 出演:Stefan Goldmann / moshimoss  / 原 摩利彦
http://www.nightcruising.jp/120629.html
2013年5月 出演:0 (Sylvain	Chauveau、Joël Merah、Stéphane Garin) / 原 摩利彦
http://www.nightcruising.jp/0_sylvainchauveau_2013.html
2014年4月 出演:Springintgut / F.S.Blumm / midori hirano
http://nightcruising.jp/140427_honenin/

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●sonihouse & night cruising present
『HERITAGE』
2015年3月28日(土) 17:00open/18:00start
at.島之内教会 (大阪 東心斎橋)
http://www.shimanouchi-church.org/
出演:
Bruno Bavota
Polar M
照明:
渡辺敬之
音響:
鶴林万平 (sonihouse)
料金:
前売り 3,500yen / 当日 4,000yen
前売りメール予約:
info.heritage2015@gmail.comまで、件名を件名を「3/28 HERITAGE」とし、お名前(カタカナ フルネーム)/人数/連絡先を明記の上、送信下さい。
3日以内にご予約確認の返信メールをさせていただきます。
※料金は当日、会場受付でお支払いいただきます。
※全て自由席となります。
お問い合わせ:
HERITAGE事務局
info.heritage2015@gmail.com
企画/制作:
night cruising
sonihouse

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