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-報告-【2014/9/4 第2回目】馬木の寺子屋 -真夏の親子課外授業-「聴く」ことにまつわる観察から創造へのワークショップ@[小豆島]馬木地区

「馬木の寺子屋-真夏の親子課外授業-」2日目は、苗羽小学校5,6年生に向けた室内でのオーディオを使ったワークショップを行いました。クラシックから電子音楽や現代音楽など、あらゆるジャンル/年代を横断し、”scenery”=(風景、背景)と名づけられた12面体スピーカーによって、それらの音楽を目の前に広がる風景のようにながめ、観察する。音楽との接し方に新しい側面を加えるようなレクチャーです。




前日のフィールドワークとはうってかわって、この日は室内でオーディオを使った座学です。
約50畳ほどの作法室の四隅に12面体スピーカーとサブウーハーを2台配置。
窓には暗幕もあり、電気を消せば部屋を真っ暗にすることもできる環境です。


授業開始前に校長先生がお越しになり、音を試聴、ワークショップの内容を体感いただきました。
「音楽が響き合う学校」という教育方針を掲げる苗羽小学校は、創部67年の伝統を誇る音楽部があり
生徒の多くが楽器を演奏し、音楽への造詣が深い学校です。
そんな生徒たちが普段受けている音楽の授業とは違った側面で音を感じさせることができれば…というご希望と、
現代美術家のジェームズ・タレルの作品を体感した時を思い出す、という恐縮なお言葉をいただきました。
普段意識しないもの(タレルの場合は「光」)の存在を改めて認識させようとする、という試みは似ているのかもしれません。


音には、音色(触)があります。
メロディやリズムだけではなく、一般的な楽譜にはあらわせませんが全ての音には色や、触り心地があります。
それはジャンルに縛られない普遍的な楽しみであり、忘れられがちかもしれません。
5,6年生には、音楽に付随するあらゆる偏見を捨て、音のみに意識を集中することで、
あらゆる音楽に対して平等な耳が持てるようになるためのレクチャーから行いました。


今まで、曲の歌詞にしか気がいかなかったり、メロディーにしか興味なかったり、
歌声にしか聴いていなかったり、音楽のジャンルにとらわれていたり、
取っ付きにくい音楽だと思っていたり、高尚な音楽だと思っていたり、
そういう音楽に付随する偏見を捨て、音のみに意識を集中することで音楽の聴き方がフラットなものになる。
あらゆる音楽に対しての耳の開き方が平等になる感じ。
そこから空間にある環境音にも意識がいき、空間の中で発せられる音にまでデザイナーの意識が及ぶこと。
そういった話を交えて、実際に音を聴きながら進めていきました。

次に電子音楽を聴き、それを絵にしてもらいました。
感情で捉え、その情景などをそのまま描くのではなく、を意識して聴いてみる。
物質感を伴う音、音の集合として音楽を捉えることを意識して
音の形と分量・時間・場所・動き・質感などをイメージして表現します。



電子音は原音がない(楽器などを録音したものと違い、
コンピュータ上で作られた音はスピーカーから再生されて初めて音になる)ため、
発せられる一音一音の音色の変化(時間)が音楽家のデザインしたものです。
ひとつの音の出始めから音の終わりまでを微細に観察し絵にすることで、そのことが理解できたように思います。

続けて打楽器によるクラシック音楽を流しました。
全ての音に原音(生楽器)がある音楽を先程と同じように質感として捉えて絵にします。
電子音でそのコツをつかんだかのように、今回は皆スラスラと筆が進みます。
大太鼓、スネアドラム、シンバル・・・皆にも馴染みの深い楽器の音色を聴いても
誰一人、楽器そのものの絵を描く子はいません。





左が電子音、右が打楽器の音楽を元に描いた絵です。
どちらも同じように「音」として捉えることができていることがわかります。
音に色を与え、形を与えて個々の音色(触)を私たちの目に見えるようにしたことで、
完全にオリジナルなそれぞれの楽譜をもって、音楽と音の捉え方の多様性を共有できたように思います。



最後に今回の「馬木の寺子屋-真夏の親子課外授業-」全体を企画担当するdot architectsの家成さんと
5,6年生それぞれの担任の先生からの総評。
音楽に限らず、創作をするときに日常の何気ない音からイメージを膨らませて自由に表現してもいいということ、
また先生も夢中でワークショップに取り組んでいただき、自身も新たな発見があったこと、
音の色を表現するには色鉛筆の色が足りなかったことなど、嬉しい感想をいただきました。
身近な環境に耳を澄ますことによって発見する「音楽する」ことの楽しみを探った初日。
身近な環境音からも音楽が見いだせる感性を持って出発することによって
オーディオを通した音楽鑑賞における「音楽の聴き方」を改めて探るワークショップへと発展した2日間のワークショップ。
この耳を開いた体験が、いつまでも子どもたち記憶の片隅に残ることを願って。
そして3日目へつづく・・・

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