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-報告- スピーカー・ワークショップ@プロジェクトルームift


今回のワークショップでは、
「ぼくなりの音楽の聴き方」
を紹介しました。
と言っても、特殊な聴き方でも何でもなく、
ただ「その音楽の情景を想像しながら聴く」
という、ごく一般的な聴き方を
改めて意識してみることを提案しました。

iftは長屋をセルフ・リノベーションした空間です。
玄関から一番奥までぶち抜きでワンフロアとしています。
だいたい14畳くらいの広さでしょうか。
そこにの写真の通り、スピーカーを台代わりの椅子に簡易的なセッティングをしました。

まず一曲目は
alva noto+ryuichi sakamoto
“insen”

生楽器であるピアノの音色と、電子音との対比に意識を集中します。
12面体スピーカー開発の動機になった
「電子音が、無指向性スピーカーのような自然に近い発音の仕方から
発せられることによってアコースティックな音の響きとして再び認識することができるか?」
というのを実際に聴いてもらおうという意図です。
ピアノの骨格感のある圧倒的な音の存在感。
それと比べればやはり電子音には実在感を感じられない。
しかし、電子音の音量・音圧を自在にコントロールできるという特性から
ピアノの実在感と対等に張り合えるデザインされた音の存在感を
持つことができる。
というような感想をみんなで話し合いました。
2曲目
Mono Fontana
“CIRUELO”
http://www.x-rec.com/SHOP/SPE-1261.html
時間、昼/夜あるいは季節をも違う音。
そして場所、野外/室内。あるいはマイクで録った音、ラインで録った音。
そんなバラバラのシチュエーションで録られた音が
一つの曲の中でバランス取り合い、せめぎ合う音楽。
聴く方も、その一つ一つの音を仔細に注意深く観察しながらも
また全体としての音楽も感じつつ聴いてみる、
ということを意識して聴いてもらいました。
3曲目
Nikolaus Harnoncourt指揮
Hendel
“MESSIAH”

バロック時代の音楽を古楽器を使って再現しようとした演奏です。
これが演奏されている広大なホールの大きさを感じながら、
またオーケストラのそれぞれの楽器の音色の違いを意識して聴いてもらいました。
ハープシコードの繊細できらめくような澄んだ音色の魅力に初めて気付いたという感想がありました。
厚みのあるテナーの男性の声も印象的でした。
4曲目
Dino Saluzzi
Rosamunde Quartett

バンドネオン奏者であるディノ・サルーシと室内楽団の組み合わせ。
ECMというレーベルの独特の空気感を感じてもらいつつ、
これも録音場所がどれくらいの広さかを意識しながら聴いてもらいました。
音が重なって音圧が上がっていく様は圧倒的な印象がありますが、
その反動か、弱音での音の響きの広がりががかえって空間の広大さを感じさせます。
5曲目
Miles Davis
“Kind of Blue”

言わずと知れたJazzの名盤中の名盤。
ここでは、天井の高い録音スタジオを想像しながも
プレーヤーの顔を思い浮かべてもらいました。
カッコつけた顔、緊張感をみなぎらせた顔、陶酔しきった顔、
少し微笑んだ顔など・・・。
こういう聴き方をすると約8分の曲もアッという間に終わってしまいます。
6曲目
Bill Evans Trio
“Portrait In Jazz”

これもまたJazzの名盤中の名盤。
このタイトルの意味を考えながら、
ビル・エバンスの「枯葉」での演奏を聴くとなぜか涙が出てきます。
7曲目
Bill Evans
Jim Hall
“Undercurrent”

またまたJazzの名盤中の名盤。
“My Funny Valentine”での緊張感みなぎる
スリリングな演奏の情景を思い浮かべながら
聴いてもらいました。
8曲目
Town And Country
“Town And Country”
http://ontonson.com/index.php?main_page=product_music_info&products_id=1304
シンプルな器楽曲。
使われる楽器の数は少ないですが、
それぞれの楽器の音色が表情豊かで、
音数も少ないのに、
密度の濃い演奏が静かな興奮を誘います。
それぞれの楽器の形の大きさや
左右前後の楽器の配置関係を意識しながら聴いてもらいました。
ここまでで、あっという間に予定の時間になり、
急いで今日のもう一つのテーマである
「スピーカーの違いで音楽の聴こえ方が変わるのか」
をこの8曲目で実験することになりました。

scenery(左)で聴いた後、view(右)で8曲目をもう一度聴いてもらいました。
ちなみにセッティング途中、viewのデザインについて、
女性参加者から「かわいい」という声が上がったのが嬉しかったですね。
聴いていただく皆さんがどれほどの違いを感じられるのか、
もしかしたら「全然変わらない」という感想もあるかな?とも思いましたが、
結果的には「全然違いますね!」と試聴後すぐに反応がありました。
特に生の楽器や人の声の実在感に違いが出やすいのではないかと思っています。
その違いはまさにそれぞれのスピーカーに付けた名前にも表しています。
sceneryとは「風景」という意味です。
音楽の、その演奏された様子がそのままそこに風景のようにある。
そして聴く側もその中にいるという感覚。
そしてviewは「眺め」という意味です。
窓からの眺めのように、ある枠の中で、そしてその中と外のように
ある客観性を持って音楽に接することができる。
そんな違いがあるのではないかと考え、
それぞれのスピーカーに名前を付けています。
2つのスピーカーの違いは、良し悪しの違いではなく、
聴く側一人一人が音楽とどう接したいのか、
また聴かれる音楽自体がどちらかを求める場合もあります。
どちらにしても音楽に接する時に
BGMとして聞き流していたものを
たまには音楽の情景までを想像しながら聴くということが
音楽を今よりももっと楽しむための一つの方法だと考えています。
と、
ここまでで僕のワークショップは終了したのですが、
この後、mamoruくんのパフォーマンスが行われました。

mamoruくんのワークショップの報告
こちらでどうぞ!
http://blog.livedoor.jp/soundartist77/archives/51512989.html

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